2022年大学生数は過去最多!?少子化が進む日本の大学経営は安泰なのか

 

 

令和4年8月、文部科学省は令和4年度の学校基本調査を公表しました。少子化が進み、学生数が減る一方と思われている日本ですが、教育学術新聞で驚きの記事が掲載されましたのでご紹介いたします。

 

2022年の大学生数は293万1千人と過去最多

 

文部科学省は令和4年8月に4年度の学校基本調査を公表しました。その調査により、前年度と比較して学生数が1万3千人増加の「293万1千人」と過去最高を記録しています。

 

この記事を見た時とても驚きました。しばしば少子高齢化が騒がれている日本ですので、さぞ大学の学生数も減少の一途を辿っていると思っていたからです。

 

要因として考えられるのは、日本の学歴社会によるものと推測しています

 

今や共働きが当たり前になりつつあり、女性が男性と同じように正社員として働くことが珍しくありません。女性管理職の存在も増えています。加えて、近年の各企業の募集要項(求人)を拝見する限り、応募資格に大学卒または大学卒業見込みとする企業が非常に多くなっています。

 

企業側は大学卒業レベルの人材を最低限受け入れたいというシンプルな考えを持ち、政府が掲げる女性活躍推進に基づく女性が働きやすい環境を整え始めています。結果、女性が活躍できる環境が増え、その為に大学に進学する女性も比例するように増え、その結果として進学率が向上してきているものと思われます。

 

近年、短期大学よりも大学への進学を決める学生が増えています。短期大学を卒業して応募できる求人数が、大卒求人よりも遥かに少ないので当然と言えば当然ですが、我が子を送り出す親御さんからしても将来のことを踏まえると大学に進学してほしいと思うのは世の常ではないでしょうか。

 

ともあれ、大学職員の筆者としては、少子化が進む中で大学生の数が増えていることについては単純に嬉しく思います。しかし、大学経営は油断できません。

 

私立大学志願者数は減少が続き382万人

 

日本私立学校振興・共済事業団は令和4年度の私立大学・短期大学の入学志願者動向をとりまとめ公表しました。

 

内容を一部抜粋すると、私立大学志願者数は382万人と減少が続いており、大学定員未充足は47.5%。当然コロナ禍による影響が大きかったのではと思います。特にオープンキャンパス等による大学情報収集が学生や高校側で十分に集められなかったことで、進路指導、大学研究がうまくいかなかったのではと推測します。

 

筆者が勤める大学も未だコロナの影響を受けており、オープンキャンパスは一部オンラインで行ったりと、大学側の雰囲気を受験生に伝えきれていないのではと感じています。

 

併願する大学が絞り込めず、結果的に志願者数減少に繋がったのではないでしょうか。

 

入学後のアンケート調査でも、大学を知ったきっかけや入学を決めたきっかけにオープンキャンパスを挙げる学生は非常に多いです。それだけ大学側にとってオープンキャンパスは学生獲得に必要なビックイベントなのですが、コロナで規制されてしまうと非常に苦しいところです。

 

私立か国立かで大学経営の安定度は異なる

 

前述の通り、私立大学では既に定員割れが起きています。歴史ある国立大学とは違い、人気のない私立大学は淘汰され将来性がないと判断されれば受験生からも敬遠されます。

 

大学の収入はいくつかありますが、大部分は学生の学納金…つまり”学費”です。学生数が少なくなれば当然収入よりも支出が上回り、補助金等では賄いきれず破綻します。直近では某有名音楽大学が赤字経営により学生募集を停止する措置を取っています。歴史ある有名大学でさえ、学生を集めることが非常に難しい現状がおわかりいただけたのではないでしょうか。

 

そして、学生が確保できない大学は今後どんどん縮小、ないし閉校していくことが予想されます。

 

反対に国立大学の場合、国が運営しているため設備や教育体制が充実しているという特徴があります。国のバックアップは大きいため、私立大学と比較すると潰れにくいと思います。ですが18歳人口が減り続けている限り、国立大学も私立大学同様に危機感を持つべきと筆者は考えます。

 

国立大学のメリットは私立大学と比べて学費が安いことです。大学経営の大部分は学費であるため、ただでさえ安い学費が確保できなくなるということが起きてしまった場合、そしてそれが何年も続いてしまった場合、国立大学が淘汰される日も来てしまうのではないでしょうか。事実、国は国立大学への補助金(国立大学法人運営費交付金)を年々減らしてきています。国立大学も国のバックアップに依存せず、私立大学と同様の意識と動きをしないと経営を圧迫することは間違いないありません。

 

学歴社会である日本において大学経営は安泰

 

そう思っていましたが、こうして文章にすると、私立も国立も今後厳しい状況になりそうです。

 

国立大学法人運営費交付金を取り巻く現状について(文部科学省)より

 

まとめ

 

学生数を確保できなければ国立も私立も経営維持は非常に難しいというお話をさせていただきましたが、働く女性が増えてきたことで18歳人口は減り続けている中でも大学生数は増えてきています。そのため、増え続ける学生をしっかり確保できるか否かで今後の大学経営は大きく変化していくと思います。

 

あと10年もしたら経営が危ない大学、安泰な大学の明暗がはっきり分かれるのではないでしょうか。

 

一般企業と同様に、どうすれば収入(学生数)を増やせるのか、大学の魅力を伝えきる広報力が今後の大学経営を左右するのではないかと…大学職員になって2年目の筆者は思うのです。

 

⭐️本ブログのデザインは上記【THE THOR】を使用しています。

 

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