国家資格キャリアコンサルタントは人事職への就職・転職に有利か否か

 

 

病院の採用人事を担当していたときに国家資格キャリアコンサルタント(※以降キャリコン)を取得しました。昨今では人事職や人材コーディネーター系の求人に、歓迎スキル・資格として「国家資格キャリアコンサルタント」が明記されることも増えてきた印象です。

 

しかしながら、キャリコン登録者数(資格保有者数)は2022年7月現在でわずか62,119人しかいません。

※国家資格キャリアコンサルタントWebサイト登録センター調べ

 

そんなキャリコン資格、果たして需要はあるのか。本記事ではキャリコンを保有している僕が転職活動した結果から、就職に有利か否かを解説していきたいと思います。

 

⭐️本ブログのデザインは上記【THE THOR】を使用しています。

 

国家資格キャリアコンサルタントとは

 

国家資格キャリアコンサルタントとはキャリアコンサルティングを行う専門家のことを指します。キャリアコンサルティングとは相談者の職業相談や能力開発、および向上に関する助言や指導を行い、人のキャリア形成を支援することができる国家資格です。

 

平成28年に本資格が国家資格化されたことで「キャリアコンサルタント」は名称独占資格となりました。もともとは似たような名称の資格がいくつもあり、資格を保有していない人もキャリコンを名乗ることができましたが、名称独占資格になったことで資格を保有していない人は名乗ることができなくなりました

 

人材紹介や支援業界の社員さんの名刺にはよく「キャリアカウンセラー」とか「キャリアアドバイザー」という名称が明記されています。これは資格を保有せず単なる職種の呼称として明記している方が非常に多く、キャリコンとしての知識がない方がほとんどです。が、しかしキャコン以外であれば名刺に明記できてしまうので、あまり詳しくない方は勘違いしてしまうことも少なくありません。

※海外では一定の資格や免許を保持していないと「キャリアカウンセラー」を名乗れない場合があります。

 

明確に差別化が図られるようになり、知識のあるものが名乗ることができる。それがキャリアコンサルタントなのです。

 

厚生労働省は令和6年(2024年)度末に10万人を目標としたキャリアコンサルタント養成計画を掲げており、国がいかに働き方…いわゆるキャリアアップやキャリアチェンジを考える機会を国民に提供しようとしているのがわかりますね。ですが冒頭で明記した通り、国家資格キャリアコンサルタント登録者(資格保有者数)は2022年7月現在でわずか62,119人しかいません。

 

資格取得者が増えないのには大きな原因があります。こちらは後述します。

 

実際に就職や転職に有利かどうか検証してみた

 

前置きが長くなりましたがタイトルを検証します。結論から言ってしまうと、

 

不利にはならないが、特に有利になることもない

 

が現実だと思います。

 

キャリコン資格取得後に大学職員へ転職しましたが、8大学の応募のうち面接でキャリコンの話題に発展した回数は0です。履歴書には当然明記しましたが、書類選考はバンバン落ちました。

 

実は大学職員だけでなく、一般企業の人事職やSV、人材紹介会社のキャリアコンサルタントにもこっそり応募しています。こちらは多少キャリコンの話題に発展しましたがほぼ0に等しいです。2022年現在、採用側にとってキャリコン資格とは別にあってもなくても採用基準に影響しないのでは、というのが僕の見解です。

 

実際のところキャリコンはあくまで補助的な資格であり、優先されるべきは「経験」という話を聞いたことがあります。これは正直僕もそう思っています。国家資格という知識を持っていても、それを活かせるだけの社会人経験がなければ宝の持ち腐れだからです。経験に勝る者なしという言葉がある通り、経験あってこその知識であるため、資格を保有しているだけでは弱いと思います。

 

資格取得者が増えない原因として、就職や転職に大きく活用できるわけではないという部分が1つ挙げられるのではないでしょうか。

 

キャリコン資格に需要はないのか否か

 

厚生労働省がキャリアコンサルタント養成計画を掲げている以上、需要は全くないわけではないと思います。国家資格ですからね。

 

まだ国家資格になったばかりの資格であるため、国も活かし方を広げるのはこれからではないでしょうか。

 

今後は各企業に何名配置しなければならない、とか、就労支援をキャリコンで行った場合は補助金を出す、とか、企業にキャリコン保有者がいるだけでお金が入ってくる仕組みになれば一気にキャリコンの需要は高まると思います。むしろそうなると思います。

 

求人にキャリコン資格保有者歓迎の明記が増えている

 

僕は2020年にキャリコンを取得しましたが、当時の求人にはキャリコンの文言などほとんどありませんでした。

 

その後、僕は2021年の夏に転職活動を行なっていますが、この時にはちらほらとキャリコン資格保有者歓迎という文言を見かけるようになっています。

 

わずか1年ではありますが、少しずつ知名度が上がってきている資格です。企業側もそれを見越した人材確保として、キャリコン保有者の採用を積極的に行いつつあるのではないでしょうか。

 

採用人事に所属していた際に感じていたことは、ある人材紹介会社にいた単なる呼称として「キャリアカウンセラー」と名乗る社員さんと、「キャリアコンサルタント」を名乗る社員さんとでは明らかに能力に差があるということです。前者は明らかに希望と条件がマッチしていないのに平気で紹介してくるので連絡頻度がとても高いです。後者はマッチしている人しか紹介してこないのでたまにしか連絡が来ないです。

 

人材の特性を理解し、能力を活かせる環境を見定めたりできるのは、きちんと学んだキャリアコンサルタントだけであると思います。

 

キャリアコンサルタントとキャリアアドバイザーの違い

 

簡単に整理してみました。

 

⭐️キャリアアドバイザー

その人の経験や得意なことをヒアリングし、最適な職種などをアドバイスする人。

 

⭐️キャリアコンサルタント

その人の経験や得意なことをヒアリングし、それを元にどんな仕事が向いているのか、どんな仕事がしたいのかを相談者本人に考えさせ自分自身で道を開くよう支援する人

 

わかりやすく言うとこんな感じだと思います。前者はとりあえずやってみようという相談者には向いていますし、後者はじっくり考えて職を決めたいという相談者に向いています。

 

まとめ

 

現時点で就職や転職に有利でない国家資格かもしれません。しかし、採用人事時代に学校訪問した学生課の担当者様は、そのほとんどがキャリコンを保有していました。

 

学生の就職相談や、転職希望者への支援をするにあたり、相談者と向き合ってその方の能力を引き出すのにキャリコン知識は必要不可欠です。

 

これからこの資格に関する考え方や活かし方、存在感は大きく変わっていくと思います。僕も資格保有者として知識の研鑽には全力で努めていこうと思っています。

 

国家資格キャリアコンサルタントについては不透明な点もまだまだ多く存在します。厚生労働省より何か動きがあればまたブログに掲載していきたいと思います。

 

 

 

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