令和4年8月の人事院勧告・報告により、国家公務員の月例給とボーナスの支給額がアップしました。3年ぶりの引き上げとのことで、公務員の方には嬉しい情報ですね。
この人事院勧告による給与の引き上げは、国家公務員に準拠している国立大学職員も同様に給与引き上げを意味します。今回のニュースは公務員だけではなく、一部の大学職員にとっても嬉しい話題だったのではないでしょうか。
かくいう筆者も現在大学職員として勤務しており、給与体系は国家公務員に準拠しています。先日給与改定説明会があり月例給とボーナスアップの説明がありましたので、本記事で少し触れていきたいと思います。
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2022年冬の月例給、ボーナスはどれくらいアップするのか
令和4年8月の人事院による給与に関する勧告・報告により、実に3年ぶりに公務員の月例給とボーナスが引き上げとなりました。具体的には
月例給
初任給・20歳台半ばに重点を置き、若年層(30歳台半ばまで)の俸給月額を引上げ
〔初任給 院卒・大卒 +3,000円、高卒 +4,000円〕
※勧告後の平均給与 (行政職俸給表(一))月額405,970円年間給与6,660,000円(勧告前との差月額:921円 年間給与:55,000円)
ボーナス
年間 4.30 月分 → 4.40 月分 勤勉手当の支給月数を引上げ
という結果となっております。
月例給の棒給月額の引き上げについては公務員以外の方はピンとこない方も多いのではないかと思いますが、ボーナスは0.10ヶ月アップという分かりやすい結果となっていますね。
かくいう筆者も、ありがたいことに月例給、ボーナス共にわずかですがアップすることが先日決まりました。月例給でいうと1,000円くらい、ボーナスでいうと29,000円くらいアップしそうです。わずかですけどとても嬉しいです。
2022年に待遇が良くなった背景
人事院勧告では基本的な考え方として
「社会情勢が急速に変化する中で、 質の高い行政サービスを国民に提供し続けるために行政がいつの時代にも求められる役割を的確に果たせるよう、 これを支える公務組織が能率的で活力のある組織であり続ける必要」
を挙げています。
要約すると、
公務員は社会情勢の変化で仕事がめっちゃ増えちゃうけど、今まで通り国民には質の良いサービスを提供してね。給与も上げておくから公務員の魅力もしっかりアピールして、優秀な人材を公務に引っ張ってきてね!
といったところでしょうか。
コロナウイルス感染拡大に伴い、日本は直近3年間で大きく体勢が変わっています。これらの変化は公務員の仕事によるものが多いのも事実です。公務員の仕事は賛否両論で、内容によっては割に合わないことを仕事にしている部署もあるでしょう。国民からのクレームも親身に受け止めなければなりません。
人事院勧告・報告にて
「民間企業等との人材確保競争がし烈になる中で採用試験申込者数が減少傾向にあり、採用試験の在り方の見直しは喫緊の課題」
とも述べています。
このことから、今回の待遇改善はこれからの未来を担う若手人材の確保も視野に入れた決定だったのではないでしょうか。
大学職員の給与はなぜ国家公務員に準拠しているのか
国立大学職員は”みなし公務員”と呼ばれています。国家公務員に準拠している一部の私立大学職員も同様にみなし公務員と呼ぶところもあるようです。
こう呼ばれているのには、もともと国立大学職員は国家公務員だったことが背景にあります。
国立大学は平成16年に法人化しており、それに伴って国家公務員ではなくなりました。しかし大学経営は非常に公益性の高い事業であり、法人化した後も国からのバックアップ(補助金等)が継続しています。その為、国家公務員ではなくなったものの国家公務員として、現在も給与体系や福利厚生制度を継続しており国の基準に準拠している”みなし公務員”という言葉を使うようになったそうです。
一部の私立大学もこのようなみなし公務員として待遇を決定しており、人事院勧告による給与体系の変更は多くの大学に今も大きく影響を与えています。
国立大学と私立大学、ボーナスが多いのはどっち?
結論からお伝えすると、高いのは私立大学だと思います。たまに大学職員の求人を覗いたりしていますが、4〜5ヶ月/年 以上支給している私立大学が多く、いつも羨ましく思っています。有名私立大学にもなると月給の6ヶ月/年も支給される大学があり本当に驚きです。
先にもお伝えした通り国立大学職員のボーナスは国家公務員に準拠しているところがあり、極端には高くありません(直近5年間で4.3ヶ月〜4.5ヶ月/年)。しかし、国家公務員のボーナスは情勢に応じた人事院勧告による判断で決定する事項である為、抜群の安定感はあります。不景気になったとしても激しく変動しないのが特徴です。逆に好景気でも大きく上がることもありません。
私立大学は大学独自の体制でボーナスの支給額を決定しているため、経営状況に左右されることがほとんどです。大学経営における収益の大半は学生の「授業料」なので、学生数が減少している私立大学はボーナスを下げ始めている可能性があります。※日頃、大学求人を拝見するにあたり有名私立大学は高い支給額を維持しておりますが、知名度の低い私立大学の支給額は2〜3ヶ月程度です。
まとめると
国立大学
・人事院勧告による国家公務員の支給規定に準拠しており、4〜4.5ヶ月/年 と安定している。
・景気による激しい変動はない。
・逆に、好景気であっても極端に上がることはない。
私立大学
・学生数の多い私立大学(有名大学)はボーナスの支給額も非常に高い。
・経営状況の悪化でボーナス額の減額が発生する可能性はある。
求人でよく見る高めに設定されたボーナス額は、一見するととても魅力的ですが注意が必要です。
基本給は低め、ボーナス支給額は高めで求人を出しておいて、経営状況によりボーナス支給額を真っ先に下げるという現象は大学だけでなく一般企業や医療法人でも当たり前に発生しています。
ボーナスだけで就職先を選ぶのはとても危険です。
大学職員に転職を検討している方は、大学自体の学生数や偏差値などで見極めて判断することをお勧めいたします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。2022年、みなし公務員である国立大学職員(一部私立)の給与額引き上げ事情について、人事院勧告・報告をもとにお伝えいたしました。
2022年冬より、みなし公務員である国立大学職員(一部私立)はボーナスが4.3ヶ月→4.4ヶ月分の支給に変更となります。国立と私立でボーナス支給規定は当然異なりますが、それぞれメリットデメリットが存在します。大学職員になるべく転職活動している方は、求人情報だけではなく大学の経営状況(学生数、偏差値等)をよく確認し判断することをお勧めいたします。
本記事が大学職員を目指す方の参考になれば幸いです。
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