「後期の学納金が未納です。このままですと除籍になってしまいます」
「わかっています。でも本人と連絡が取れなくて…。ただ、大学に残るか中退するかは本人の意思に任せているんです」
また1人、大学を去るであろう学生のご家族と話す機会がありました。後期の学納金がいつまでたっても振り込まれず、学生本人と連絡がとれないままついに2月も終わりを迎えようとしており、急遽家族と話す必要があったためです。
その学生は3年生。卒業まであと一歩のところまで来ているのに、その一歩がいまとても辛い状況に置かれているそう。
「日本はまだまだ学歴社会です。大卒資格は将来を大きく左右します。早く学納金支払って大学に戻って!!」
と言いたいところを何とか喉元で抑え…。というより、そんなことは当然親御さんとて百も承知の事実なわけで。子の意思を尊重したいという親の愛ゆえなのだが、、、それは本当に子のためになるのかは…筆者もよくわかっていません。
⭐️本ブログのデザインは上記【THE THOR】を使用しています。
筆者は高校生当時、美容師になりたかった。しかし…
「お母さんから聞いたぞ、高校卒業したら美容師の専門学校に行きたいんだって?」
「んー、うん。まあ。やっぱりカッコいいし、それにお金も早く欲しい。東京の専門学校なら色々と勉強できると思うし働き先もたくさんあるし」
「専門学校に行くなら学費とかお金とかは一切出さんぞ」
「う、うん??えー!?出してくれないの!?」
「自分でなんとかしろ」
「いやいや無理でしょ!?高校生だよ?そんなお金ないよ!」
「なら大学に行け。4年間遊ばせてやる。本気で美容師になりたいと思うなら大学卒業したあとでも遅くないだろ?大卒資格は取っておくに越したことないぞ。」
高校3年生の春、父から放たれた言葉は「専門学校に行くなら金は出さん」という衝撃的なものでした。
当時、筆者は美容師になりたかったんです(恥)。高校時代、周りはおしゃれに目覚め、ファッション、トレンドヘアーなどの美容ジャンルはものすごく身近で進化していました。ウルフヘアとか、フェザーカットとか、ソフトモヒカンとか流行り始めていた時代です(笑)
高校時代、同級生と共にCHOKi CHOKi というファッション雑誌を愛読していました。服はいつもおしゃれなものを、ヘアースタイルはカッコよく、カラーも先生に怒られない程度に、そんなこともあって将来は美容師に憧れていました。専門学校に行って美容師になるものと考えていたところに、まさか親がお金を出さないとは夢にも思わず。
大学行け宣言が出たのは高校3年生の春。もっと早くいってよパパん。゚(゚´ω`゚)゚。何回か父と母に専門学校に行きたい旨を打診しましたが、父は絶対に首を縦には降りませんでした。大学進学を決めている同級生たちはとっくに受験モードに突入しています。正直無理じゃないかと感じるも、専門学校に行く金が工面できなければ働くか大学に進学するしかありません。高卒で働きに出ることの難しさは当時から把握していましたので、筆者には大学進学以外の選択肢はありませんでした。
今思えば、大学行くなら金を出すと言った我が親は良親だと思います(笑)
スタートこそ出遅れたものの、必死こいて勉強し現役で4年制大学に合格。偏差値は全然高くない大学でしたが、キャンパスもそこそこ綺麗だったその大学に進学することを決めました。というかそこしか受かりませんでした(笑)。専攻は情報学。高校生の頃からパソコンに向かって何かする作業は嫌いではなかったので、この学部を選びました。
大学生活は普通に楽しくて、適当に勉強して、飲みに行って、バイトして、合コンして、彼女できない自分に落ち込んだりしていたら、あっという間に4年が経ち就職活動の時期に突入。大学ではみっちり情報学を学び、プログラミングも学び、Officeとタッチタイピングも磨きをかけたため、それらを活かせる企業に絞って就職活動を開始。卒業年は就職氷河期と言われた時期ではありませんでしたが、就職活動は苦労を極め、ようやく新宿に拠点を置く通信事業者から内定を勝ち取ることができました。
…あれ、美容師になりたいんじゃなかったっけ…
この時、美容師になりたいという夢はいつの間にか消えていて、大学卒業後に専門学校に行くことなど全く頭にありませんでした。
父は当時から、僕が本気で美容師になりたいとは思っていなかったんだと思います。
大卒資格に助けられた2度の転職活動
新卒で入社したIT企業に見切りをつけ、転職活動を始めたのが入社して5年目のこと。さまざまな経緯を経て病院事務に転職します。
病院転職時の記事がこちら
この時、求人を見て思ったことは「大卒でなければ転職活動は困難を極めていた」ということ。
最終学歴が専門卒と大卒とでは、大卒の方が2万円も基本給が高かったからです。これは本当に将来的な収入に大きな差が発生します。10年働いた場合240万円も差が出るのです。
その後、病院で採用人事を経験し、資格を取得したことで大学職員に転職します。
大学職員へ転職した時の記事がこちら
大学職員の正職員求人はほぼ確実に大卒資格が必要です。なので、この時もあらためて日本が学歴社会、そして高校生の時に大学進学することを選択してよかったと思いました。
父が専門学校より大学進学を求めた理由がわかる
父は僕が小さい頃から堅実で用意周到な人でした。そんな父を正直「つまらない人」と思っていましたが、最終的に父が言っていた大卒資格を得たことで、非常に大きな転換期を迎えることができています。
筆者は2度の転職を経験しています。そのどちらも大卒資格がなければ上手くいかなかったのは間違いありません。高校時代の筆者自身が将来IT企業へ、その後病院、その後大学職員として勤務することなど全く想像がついていませんでした。
人生はマジで何があるかわかりません。
備えあればなんとやら。最終学歴が大卒と専門卒とではその後の選択肢に大きく差が生まれます。
大卒資格は学歴社会の日本で生きる、言わば「保険」のようなものなのです。
おそらく父は、高校時代の筆者が美容師の道に本気でないことも、進んだとしても挫折する可能性を予測していたのだと思います。亡き父と話すことはもう叶いませんが、父はそういった筆者の可能性を考え、進む道が変わった時のための保険として大学進学を勧めたのだと今は思うのです。
大学中退は安易に考えず、やりたいことは卒業してからでも遅くない!
前置きが長くなりましたが、大学に進学したのであれば最後までやり通して卒業したほうがその後の選択肢が広がります。また、高校生で将来の見通しが立っていなければとりあえず大学に進学することはとても大事です。
「目指す道が変わったから」
大学中退の理由に多いのが上記ですが、目指した道で成功する確証はあるのでしょうか。その覚悟は大学を卒業してからでは遅いのでしょうか。今まで過ごした時間も、費やしたお金も、将来的な選択肢も投げ打って、大学を退学してまで道を変える必要が本当にあるのでしょうか。
中退される方には経済的な理由、病気など色々な理由があるので一概には言えません。特に経済的な理由の場合は本当に心苦しいところです。親御さんとしても通わせたいと思う一方で、費用を捻出出来ないという方は一定数存在します。費用の面においては、奨学金や就学支援制度など国のサポートが充実しつつあります。安易に判断せずに大学にまず相談することが大事です。
親御さんは学生の思いを最後まで尊重すべきとは思いますが、筆者のように親の堅実的な助言があったからこそ今の自分がある人もいるのです。
さまざまな理由で中退せざるを得ない状況は必ず存在しますが、その選択は慎重に検討すべきであると思います。
あとがき
冒頭でお話しした後期学納金未納の3年生から、先日学納金が振り込まれてきました。彼はその後も大学で学ぶことを選んだようです。本当に良かった。゚(゚´ω`゚)゚。
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