医療事務のお仕事内容公開!”元”医療事務員が簡単に解説します

 

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近年、医療事務の需要は非常に高くなっています。専門性の高い職業ですが「無資格・未経験」でも転職することが可能だからです。もちろん、専門学校できちんと学んだ方と比較するとスタートラインが全然違ってきますが、5年、10年もするとその差は微々たるものになります。

 

病院の事務は、一般企業の事務とは異なり専門性が高いものの給与や福利厚生が安定しておりおすすめです。女性が多い職場ですが、産休などで欠員が生じることが少なくないため男性の事務も比較的重宝されます。

 

一度病院に転職することが出来れば、総務や財務、企画、広報など他の事務職への配置転換も可能で、異動していろんな医療のあり方を学びたい方はおすすめです。僕も一度医療事務に転職し、採用人事課に異動しました。採用人事課でも医療事務で得た知識をフル活用できています。

 

本記事では医療事務のお仕事について、採用事情について、将来性について等をお伝えいたします。

 

 

⭐️本ブログのデザインは上記【THE THOR】を使用しています。

 

 

医療事務のお仕事について

 

一言で医療事務というと、皆さんは病院の窓口で対応しているスタッフを想像するのではないでしょうか。医療事務といっても病院毎で幅広い業務が割り当てられております。以下に簡単に明記いたします。

※医療機関によっては多少の違いがあることがございます。ご了承ください。

 

1.外来チーム

 外来とは外来患者の略です。入院患者に対し病院の診療を受ける方を指します。外来チームは、当日の診察を受ける方のご案内、受付、算定(診療の計算)、精算が主な業務になります。目まぐるしく患者さまから声がかかりますので、診察受付時間内は病院内で一番忙しい部署といっても過言ではありません。重要なのはとにかく対応スピードと算定の正確さ。医療機関によっては、この外来チームをパートさんで構成しているところも多いかもしれませんが、そこらへんの正社員よりもとても仕事が早く知識が豊富な方がほとんどです。求人は無資格・未経験OKでよく見かけますが、舐めて応募すると痛い目に合うのが医療事務の外来チームです。

 

2.入院チーム 

 入院チームでは文字通り、入院患者の算定業務が主となります。窓口に立つことはほとんどなく、手術や処置など外来よりもより専門性の高い算定をおこないます。外来と比べると、じっくりカルテをみて算定することが可能ですが、診療科によっては非常に難度の高いレセプト※1の作成技術が必要です。今はほとんどがDPC※2であるため、算定はグッと楽になっていますが、それでも手術の手技や、使用材料、処置については下手すると看護師以上の知識が身に付く割と需要の高いチームになっています。手術で使用した材料や、手技は売り上げに大きく左右されるため、算定時は医師や看護師に確認する必要があります。医療事務の中でも、より現場のスタッフとコミュニケーションを多く取る必要があるチームです。

 ※1 …診療報酬明細書のこと。保険証を使った際に3割が患者様負担に対し、7割を協会けんぽ・国保に請求します。その7割を請求する明細書をレセプトと呼びます。

 ※2…包括医療払い制度のこと。DPCとは基本的に病名によって発生する診療費がおおよそ決まっています。心筋梗塞なら100万、骨折なら50万といった感じです。(実際にはもっと細かいです)病名で診療費が決まっており、入院中に多くの薬剤を使用しても費用は包括されているため大きく上限しません。ちなみに、薬剤や処置を行なった分だけ請求する請求を「出来高払い制度」と呼びます。

 

3.書類チーム

 窓口にて診断書の受付を行うチームです。当院では(他の病院さんもそう?)メディカルクラークの資格保有者でないと配置ができないチームです。入院チームと同じくらい、医師と連携を図る必要があります。

 

4.診療情報管理室(HIM)

 HIMとは診療情報管理士のことです。前述したDPCを適切に理解し、院内の診療情報を収集、管理、精査を行う専門的な部署です。当院では入院チームと連携しており、請求時の病名は医師の確認もそうですが、診療情報管理士にも請求病名として適切かどうかの確認が必要となります。

 

残業が多いって本当?

 

本当です(笑)前述したレセプト請求ですが、毎月10日くらいまでに前月の患者さま全ての保険請求分を精査しなければなりません。外来は1日に何百と患者さまが診察されてますし、入院も手術が多い医療機関では算定がとても大変です。

 

なので、毎月1日〜9日まではどの医療機関さんもお忙しいのではないでしょうか。この期間も当然患者さまはいらっしゃいますので、うちも毎月月初はバタバタとしております。

 

医療事務のお給料について

 

インターネット上で給料低いとよく叩かれているのが医療事務(笑)たしかにそこまで高くはないのですが、そこまで低くはありません。

 

4大卒30歳、経験3年目の時点で年収は430万円ほどでした。僕もどちらかというと安定志向でしたので、毎年の定期昇給にも納得しておりましたし、この金額には満足していました。残業が多かったので、残業手当が大きく左右されるかもしれません。逆に残業がないと380万くらいだと思います。

 

ちなみに…大卒と専門卒で1.5万円くらい初任給が違います。専門的な勉強をしてきた専門卒より、未経験の大卒のほうが高いのは納得できない方も多いかもしれませんね。その代わり大卒は異動が結構あったりするので、それぞれメリットデメリットがあります。

 

あと、役職がある方はかなり給料がもらえると思います。女性職員で最も多いのが主任職ですが、大体2万〜3万円くらいの手当が毎月入ります。課長だと毎月6万〜8万くらいの手当がつきますので、かなり安定すると思います。男性の方で課長職を目指す方は病院事務はありだと思います。一般企業は役職があっても手当がなかったり、名ばかりの管理職だったりしますのでそれに比べたら、医療職の役職はしっかりと手当がもらえるのが嬉しいですね。

 

ちなみに、うちの病院ではボーナスは4.2ヶ月/年、定期昇給(4,000円〜8,000円/年)くらいです。

 

医療事務は選考で何を重視する?

 

病院ごとで「メディカルクラーク」や「診療情報管理士」の資格が必要なポジションもありますが、ほとんどの求人を見る限り無資格・未経験で応募が可能です。当院も同じです。

 

でも、「無資格・未経験OKなのに全然書類選考が通らない」「経験者なのに不採用にされる」と言う方も中にはいらっしゃると思います。医療事務の選考において何が重視されるのでしょうか。

 

1.ズバリ、パソコンスキル

外来の案内や、算定のやり方などは、正直病院ごとで異なっておりどんな方も転職すれば1からスタートです。ですので既存のスキルにはあまり拘っていません。重視するのはズバリ、パソコンスキル。

パソコンスキルというと「そんな高度なスキル持ってない!」と思うかもしれませんが、パソコンを普通に使うレベルの知識で大丈夫です。例えば文章を入力できるとか、PowerPoint、Excelを扱ったことが少しでもあれば問題ありません。

職務経歴書の過去の経歴から、パソコンのスキルが読み取れないと書類選考で不採用になるケースがあります。医療機関のほとんどは電子カルテを採用しており、医療事務は他コメディカルと比較してもパソコンを1日中操作しますので履歴書や職務経歴書には、基本的なパソコン操作は問題ないとしっかりアピールしておきましょう。

 

2.転職歴の回数や勤続年数

医療事務は一般企業の事務とは異なり、専門的な知識を有する職種です。無資格・未経験でOKですが、入職後はびっくりするくらい覚えることが多いので転職歴の回数が多かったり、勤続年数があまりにも短いものがあると

「この人はすぐに辞めちゃうだろうな」

と判断される可能性が高いのが正直なところです。※これは一般的な企業も同じ見解かもしれません。

もちろん転職回数や勤続年数を差し引いても、貴重な経験やスキルをお持ちの方であれば採用される可能性があります。

 

3.コミュニケーションスキル

患者様と対応するので、人と話すのが苦手な人は向いていないかもしれません。ここが一般事務と医療事務の大きな違いですね。医師やコメディカル職のスタッフと連携することも多く、自分の部署だけで解決する仕事ばかりではありませんのでコミュニケーションは大事です。書類選考が通過した後の面接では、コミュニケーションが得意である事やそれに付随する体験談などをお話しされると良いと思います。

 

以上の3点が書類上で問題ないと判断されれば、面接に進めることができるのではないかなと思います。

※あくまで当院での採用基準ですので、一概に全ての医療機関に共通するものではございません。

 

医療事務の将来性について

 

医療事務の資格は全て民間資格であり、国家資格がありません。ですが専門的な要素が非常に多く、国家資格として新たに資格を作っても良いのではないかと思うくらい、他コメディカル職に引けを取らない職種です。

 

病院の売り上げは医療事務の診療報酬算定が鍵です。みなさん算定本ご存知ですか?算定本とは、手術や処置が何点(何円)であるのか明記されている本ですが、めちゃくちゃ分厚いんですあれ(笑)とても幅広い内容が盛り込まれており、算定基準が事細かに明記されております。しかも2年に1回この点数本が新しくなるため、算定方法も変わりますし大変です。常に学ぶ必要があります。急な変更にも柔軟に対応できる人でなければ難しい職種です。これらの経験がある方はどこの医療機関でも重宝されるのではないでしょうか。

 

医師は医療に関してはプロですが、算定に関しては違います。算定ルールが非常に複雑なため、医師も医療事務に頼ることが非常に多いです。診療報酬の算定で知識を深めることが出来れば、医師とも高いレベルの話ができるようになりますし、やりがいにもなります。

 

また、医療機関は年功序列の色が強いため、年齢や経験値が高ければ、それだけで給料が安定する傾向があります。頑張っている方も、普通に仕事している方も同じような評価をされる可能性が高いため、ここは将来的に是正されるべきではりますが、現時点では多くの医療機関がそうではないでしょうか。

(うちは違う!という医療機関さんがいらっしゃいましたら申し訳ございません)

そういった意味でも、深く医療事務の知識を学びたい、給料も毎年定期的に上がってくれるならといった安定思考の方には向いていると思います。ボーナスも平均以上ですし、退職金も完備されているところが多いと思いますので。

 

男性医療事務も非常に重宝されます

 

異動がつきものですが、男性医療事務は将来的に管理職候補として抜擢される可能性が高いです。なぜなら、ただでさえ女性が多く、男性が少ないためです。男女で差別するつもりは一切ないのですが、女性はどうしても産休・育休など、現場を離れてしまうことがあります。対して男性は今でこそ育児休業が話題になってきておりますが、やはり家計を守る大黒柱として働き続ける方が多いのではないでしょうか。

 

冒頭でお伝えした通り、男性は異動が多いです。院内の様々な部署の特性を理解しないと課長や次長、事務長や部長にはなれないからです。管理職になると給料も跳ね上がりますし将来性は高いです。

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。医療事務は正社員でもパートでも無資格・未経験で応募が可能です。それゆえに、求人を掲載するとすごい数の応募があります。ポイントを抑えないと面接にすら進めませんので、本記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。また機会があれば書類選考で注意するポイント、面接対策なども記事にしていきたいと思います。

 



 



 



 

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